桑高百周年シリーズ12
三重県立桑名中学校 2 |
桑高百周年シリーズ9で述べましたが、三重県立桑名中学校では昭和3年(1928)第1回生の69名が卒業しました。うち進学したのは約半数の30名でした。進学先は私立大学予科3、官立高校2、官立専門学校4名、官立実業専門学校7、高等師範2名などです。三重県下の先輩校である、津・富田・上野・宇治山田中学には及びませんが、新設校としてはまずまずの成績です。2年7月には西別所の水谷清六氏が基金15,000円を醵出し、「財団法人三重県立桑名中学校水谷育英会」を設立し、上級学校へ進学した桑中卒業生に奨学金を与えています。同様な育英会として「諸戸育英会」(諸戸清六氏設立)もありました。
学校の設備も徐々に整備され、昭和2年10月には諸戸清六氏の寄贈によりテニスコートが完成しました。4年6月には「御大典記念図書館」が伊藤紀兵衛氏の寄付で建設されました。「御大典」とは昭和天皇の即位式です。図書館には諸戸清六氏から千数百冊の図書が寄贈されました。
昭和4年から始まる世界恐慌で、中等学校志願者も激減し、5年度はどこの中等学校でも定員に満たない有様でした。桑中も定員150名に対して145名しか志願者がなかったのですが、入学を許可されたのは120名で、厳しい選考がなされたようです。翌6年には定員が90名に減らされています。志願者は101名でした。
スポーツ面では水泳の活躍が目立ちます。桑名にはプールがありませんので、多度の仮設プールで練習し、昭和5年の東海選手権大会では近藤勇三君が自由形400米と1500米で優勝し、小出靖彦君は平泳100米と200米で優勝しています。小出君は翌年には全日本選手権大会で平泳100米と200米で4位に入賞しています。彼は東大に進み、昭和35年(1960)のローマ・オリンピックでは日本水泳競技の総監督として参加しています。